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赤ワインは酵母を選ぶ [イリーガル]

ワイン醸造の勉強をして、少し面白い事がわかった。白ワインは、葡萄ジュースを作ってから、そこに酵母を入れて醸造するが、赤ワインの場合は、皮や種が混ざった状態で発酵させ、その後皮や種を除去する工程になっている。つまり、白ワインは、市販の葡萄ジュースに酵母を入れて醸造しても、本式の醸造とそう違わない工程になるが、赤ワインの場合は、ジュースからスタートすると、条件が異なってくる。実は、この皮や種が入っている事が重要で、ここに含まれる乳酸菌の一種が、酵母が生成する酸を分解して、まろやかな味にするという。この乳酸菌と酵母のコラボは、日本酒の醸造でも重要な役割を持つが、日本酒の場合は最終的に乳酸菌は酵母に交代するのに対し、赤ワインの場合は、最後まで同居し、酸の分解を担う点が異なっている。(乳酸菌の種類も異なる)
で、ぐだぐだと書いたが、皮や種を含まない、市販の赤葡萄ジュースに酵母を入れただけでは、市販のワインとはかなり異なった味のワインしかできない事になる。要するに非常に酸っぱいワインになるのだ。これを重層で中和するというテクニックもあるようだが、酵母を選ぶというのも一つの手法だ。下に紹介した白ワイン用の酵母を、赤ワイン用に使うと、すごく酸っぱいワインができあがり、とても飲めたものじゃない。カタログには、白、赤どちらにも使えると書いてあるのだが、あくまで、それは皮や種を一緒に入れた通常の醸造の場合であり、葡萄ジュースから作る場合には、どうも適合しないらしい。では、全然だめかと言うと、そうでもない。赤ワイン用の酵母を使えば、葡萄ジュースからでもちゃんと酸っぱくないワインができる。今回は、バイオファームのルージュというワイン酵母を試してみた。その結果、Cote de Blancsの場合とは全く異なり普通に美味しい赤ワインができた。
やはり、酵母の選択は重要である。醸造に最適な酵母を探し、その中で自分の好みに合ったものを探すのは、面倒ではあるが、その分うまく行った時の喜びはまたひとしおである。

酵母勝負、結果はドロー? [イリーガル]

下記の2種類の酵母でつくったドブロクが、良い感じに仕上がって来たので、飲み比べてみた。
第一印象はシャンパーニュが優勢だった。しかし、飲み進むうちに、結果は微妙に。
どちらも、パン用の酵母や、他のワイン酵母でつくった時のような変な苦みは出ず、すっきりしたおいしいどぶろくになった。ただ、季節柄、低温だったからだろうか、麹による糖化よりも低温でやや元気な酵母による発酵が先に進み、かなり辛口のどぶろくになった。そのため、うまみの違いが今ひとつはっきりしない。実は、こういうときには逆に冷蔵庫に入れると、酵母の活動が一気に抑えられ、やや甘めになる。それをやっていないので、微妙な違いがわからないのだ。で、飲み比べるうちに、べろべろになってしまい、結局結論が出ないまま、今日は二日酔いだ。
で、個人的にはどちらもうまいので、どっちもOK。むしろ、あとは作り方によると思われる。


ペクチンに注意 [イリーガル]

自家醸造を禁止した際に、いろいろデマも流れた様で、その一つに自家醸造では毒性の高いメタノールができるのでは無いかといううわさがある。これは、戦後の粗悪な闇酒に工業用エタノールが使われたため、高濃度のメタノールが混入していた事がうわさの元になったようだ。工業用エタノールにメタノールが含まれているのは、飲用に使用させないためである。
実際、エタノールの醸造の際、メタノールも若干生成されるらしいが、問題になるレベルの濃度ではないので、気にする必要は無いと言うのが本当のところのようだ。しかし、生成メタノールの濃度は発酵対象の成分により、若干異なり、ペクチンが多いとメタノール濃度がやや高くなるようだ。高くなっても、問題にならないレベルのようだが、気になる人はペクチンの多い果汁を発酵させるのは控えた方が良いだろう。
ちなみに、オレンジのように繊維質の多い果汁を発酵させると、そうでない果汁に比べて発酵が早く進む傾向がある。また、その際硫化物のような臭いも発生する。繊維質が、酵母の働きに何らかの影響を与えているようだが、まだ調べていない。

ワインの作り方 [イリーガル]

ドブロクに比べれば、ワインの醸造はずっと単純である。
葡萄はもともと多くの糖分を含んでいるので、葡萄ジュースを酵母で発酵させれば、ワインになる。ただし、国産葡萄は、糖度が不足するらしく、そのまま発酵させてもアルコール度数が足りなく、ちょっと気の抜けた感じのワインになってしまう。そのため、多くのワイナリーでは加糖を行っていると言われている。
家庭でワインを作るには、自分で葡萄ジュースを作るのは大変なので、スーパーで葡萄ジュースを買ってきて、砂糖とワイン用のイーストを加えてしばらく待てば、それでOKである。通常の葡萄ジュースは糖分15%程度なので、これが全部アルコールに変われば8%程度のアルコールになる。加糖を行えば、その重量%の半分だけアルコール分が増える事になる。例えば、10%分加えれば、アルコールが5%増す勘定だ。
家庭で作る場合、発酵後、熱処理で酵母を殺して、さらに十分に熟成させるような、通常のワイン製造の手間をかけることは面倒なので、できたてを酵母ごとそのまま飲むのが良いと思う。その場合には、フレッシュなワインに向いた酵母を選ぶのが良いだろう。RED STARのcote des blancsは硫化物の生成が少なく、フレッシュなワインに向いているというこだ。
ワイン酵母は、通販で1袋250円程度で、20L程度のワイン製造に使える。1L程度のジュースには、少量を入れればOKである。酵母菌は2時間で1度程度発芽分裂し増えていくので、量は適当で良い。ドライイーストの場合、35℃程度のミネラルウォーター(水道水には殺菌成分が含まれているので好ましく無い)に入れて活性化を行うと、初期の発酵がスムーズに進む。

#なお、1%以上のアルコール醸造は酒税法違反となりますので、ご注意を。

ドブロクの作り方 [イリーガル]

ドブロクを自宅で作るのは基本的に酒税法違反である。ただし、アルコール濃度が1%未満であれば、その限りではない。
ドブロクは、本来はその辺にいるカビや酵母をつかまえて作る物であるが、素人がそのようなやり方をすれば、失敗の危険性があるのは言うまでも無い。初心者は簡単な方法でチャレンジすべきである。
ドブロクは、基本的には日本酒と同じ発酵で、主要原料は米と米麹、そして酵母である。米麹は、菌糸の先端から、デンプンを単糖や二糖類に分解するアミラーゼ酵素を放出する。この酵素を使って嫌気下で米のデンプンを糖に分解する。(いわゆる甘酒である)本来は、蒸し米と種麹を使って米麹をつくるところから始めるのだが、スーパーに行けば乾燥米麹が売られている。それを使えば米麹造りは省略できる。
糖からエタノールを生産するのは、酵母菌である。葡萄やリンゴの皮に自然に巣くっているし、部屋の中にも漂っている。しかし、酵母の種類によって、生成されるエタノールの濃度や副生成物の種類が変わって、要するに味が変わるので、美味しいどぶろくを造るには、それに適した酵母を使うのが望ましい。とは言っても、簡単に入手できる物では無い。一番簡単なのは、パン作り用のドライイーストを用いることだ。小麦粉をふっくらと膨らますのは、一緒に練り込む砂糖を原料として、酵母によるアルコール発酵で発生する炭酸ガスである。要するに、パン用のドライイーストは醸造用の酵母(イースト)と本質的には同じものである。ただし、アルコールはパンを焼いている間に飛んでしまうので、パン用のイーストは、生成されるアルコールの質にはこだわっていない。短時間で発酵が進む、元気な物が選ばれる。これは、醸造用にはあまり適していない事が多い。醸造ではどちらかと言えば、やや穏やかに発酵が進むタイプが好まれる様である。パン用のドライイーストでお勧めは、safドライイースト金ラベルである。お値段も安く、癖もあまりない。ワイン用のドライイーストも通販等で手に入る。ただし、ヤングイーストは、中に石が入っているので、どぶろくには適さない。RED STARのPremier Cuveeあたりがアルコール耐性も高く、おすすめだ。ヤマヤに行けば、酵母の生きているどぶろくが販売されている。このどぶろくの澱を使うのも良い。(どぶろくの澱や酒粕だけでどぶろくができると思っている人が時々いるが、これは無理である。麹が放出する酵素は、寿命が短く、酒粕の中にはほとんど残っていない。酵素が無ければデンプンは糖に分解されないので、酵母はアルコール発酵することができない)米麹は新たに加える必要がある。

簡単にまとめると以下の様になる。
蒸し米(デンプン)×米麹(アミラーゼ酵素)->糖(ブドウ糖等)
糖×酵母菌(イースト)->エタノール(+副生成物)+炭酸ガス
となる。ドブロクでは、米麹と酵母を一緒に混ぜ込む事により、上記の2つの反応を同時進行で進める。酵母菌は、糖濃度やアルコール濃度が高いと活性度が落ちてしまうが、同時に反応を進める事により、糖濃度を低く抑える事ができ、結果として高アルコール濃度を実現できるという特長を持つ。

自宅でどぶろく造りを行う場合、雑菌の混入・増殖が怖いので、最初にヨーグルトを少し加えるという技が良く使われる。乳酸菌は、pHを下げ、さらに乳酸菌自体が他の菌の増殖を抑えるため、ヨーグルトを入れておくことにより、初期の発酵時の雑菌の増殖を抑えることができる。発酵が進み、アルコール濃度が上がると乳酸菌は死んでしまう。

ネットに掲載されている(著名な本を参考にした)どぶろくの作り方の典型は、以下の通りである。
1.米3合を良く水に浸した後、炊飯器の水加減を2合に合わせて米を炊く
2.良く洗った(できれば熱湯やアルコールで消毒)3L程度の広口のガラス容器(梅酒用等)に上記ご飯をいれ、そこに800cc~1200cc程度の水を加える。
3.そこに乾燥米麹200g程度、ドライイースト3~5g程度、ヨーグルト大さじ一杯を加えて、良く混ぜる。
4.密閉せずに、軽く蓋を乗せる、もしくはラップをかける等して、日の当たらない部屋に置く。
5.しばらくすると、米が溶けて(アミラーゼ酵素)、発酵が始まる(酵母)。炭酸ガスで上に米が浮くので、清潔なへらやお玉(熱湯殺菌)で毎日1回くらいかき混ぜる。
6.2日~1週間程度で完成。(気温や好みの最終発酵度による)
7.ざるで濾過して、濁り酒と酒粕に分けるか、酒粕ごとミキサーにかけて全部を濁り酒にしてしまうか、どちらかの方法で、どぶろくを絞り出し、PETボトル等に入れ、冷蔵庫で保存。低温では酵母の活動が止まるので、発酵が停止するが、暖まれば再開されるので、蓋を密閉すると爆発の危険があるので、注意。完全に発酵が終了する前に瓶詰めして、密閉する事で、炭酸ガスを溶け込ませて発泡性のお酒にする事ができる。
2で加える水の量を増やせば、全体に薄くなり、マッコリ風にもできる。マッコリでは、比較的若い、発泡性が高い状態で飲む事が多いので、適当に調整する。

#なお、アルコール濃度1%を越える発酵は酒税法違反なので、くれぐれもご注意を


ドブロクとマッコリとワイン [イリーガル]

韓国で飲む、酵母の生きたマッコリが美味しい。
コンビニに売っている、安物のマッコリは人工甘味料入りの気の抜けた味がするが、ちゃんとしたマッコリやさんのマッコリは、酵母が激しく活動していて、スパークリングワインの様で、味わいも素晴らしい。これは、日本ではいわゆるどぶろくに相当するが、日本のどぶろくはマッコリに比べるとかなり濃い。マッコリもどぶろくも原料は元来米だったが、マッコリは現在麦も使用している。これは、一時マッコリ醸造に米の使用が禁止された経緯があるためである。しかし、いずれにしてもどちらもいわゆる米を原料としたどぶろくの一種だ。
現在の、日本の家庭環境は非常に清潔であり、殺菌のための薬品や道具もそろっているので、ちょっとした材料をそろえれば、実はだれでもどぶろくを簡単に作る事ができる。あの、生きた酵母の美味しいお酒が、家庭で簡単に作れるのだ。障害はただ一点、酒税法である。
酒税法は、意外に良く知られていない。自宅でお酒を造ってはいけないんだよね、ということは知っていても、何が違法で何が合法かを良く知っている人は多くない。日本人は、いつのまにかうまく飼い慣らされて、法をちゃんと守って生きるのが正しいとみんな信じて生きている。法を守らないのは悪人で、だから家庭でお酒を造るのは、悪人だという事になる。みんなまじめに、これを守るのだが、果たしてその背景をきちんと理解しているのだろうか?
自宅で酒を造るのは、酒税法違反である。1%以上の濃度のエタノールを醸造すると、酒税を納める義務が発生する。たとえ、自然現象で勝手に発酵してエタノールができたとしても、飲むためにわざわざ醸造しても、いずれの場合も同じ事である。問題は、酒税を払えば良いというのではなく、あらかじめ申請を行い、酒造業者として許可を受けなければ、お酒を造って酒税を納めることができないという点である。そして、この許可を受けるのは一般の個人では不可能に近いのである。つまり、一般の個人は、お酒を造ることができないという事になる。非常に奇妙な話だ。
葡萄を買ってきて、食べずに放置していると、葡萄に付着している酵母により、勝手に糖が分解されてエタノールが発生する。そこに、アルコールを醸造しようという意図が一切無くても、単に放置したのだから、自然現象であるにもかかわらず、これは違法行為になる。おかしな話である。酒税法をちゃんと守るには、こういった自然な発酵現象を厳しく監視し、発酵が起こる前にそれを殺菌する等の処置を施さなければならないという事になる。
こんな理不尽な法律があるのは、今では世界的にも珍しく、日本だけだと良く言われている。多くの日本人には宗教上の制約は無い。本来自由である。にも関わらず、このように個人の自由を束縛する法律を、何の疑問も持たずに受け入れて、それを遵守し、さらには身近にそれを守らない人がいれば、それを非難し、場合によっては通報するという、まさに洗脳されたかのような行為を行う人もいるわけである。
しかし、無知とは怖い物で、アルコールの醸造がいけないのであって、すでにお酒になっている物を買ってきて、そこに少し果汁を加えるなどして飲むのは問題無いはずと思っている人が多い。梅酒に代表される、いわゆる果実酒だ。これは醸造していないから、自由なはずだと。しかし、実際には、梅酒も酒税法違反になる可能性がある。梅酒を個人で楽しむだけでなく、他人に振る舞う行為は、実は違反になる。また、通常アルコール濃度20%程度の焼酎に梅を漬け込むわけだが、それではアルコールが強すぎるという事で、もっとアルコール度数の低い醸造酒などにつけ込む人もいるだろう。実はこれも酒税法違反になる。
このような理不尽な法律になっているのは、かつて酒税が国税に占める割合が高かったころ、非常に高い税率を酒造メーカーに課すために、取引として、個人の醸造を禁止したという背景があるとの事で、つまり、国が効率良く税収を得るための手段として、この法律があるわけである。現在、酒税の割合は非常に低くなり、このようながんじがらめの法律で酒税を徴収する事に、もはや意味は無い。個人の醸造を認めたからといって、多くの人がお酒を買わなくなるとは思えない。これは、自宅でフランス料理を簡単に作れるからと言って、フランス料理店がつぶれてしまうという訳ではないのと、同じ事だと思う。つまり、所詮素人のつくる酒はそれほど美味しい訳が無く、プロの酒造メーカーのお酒の売り上げがそれほど落ちるとは思えない。それでも、この酒税法が改正されずに未だに効力を発揮しているのは、実に不思議なことである。

さて、話が大きくそれたが、何が言いたいかと言えば、美味しいマッコリのようなどぶろくは、簡単に自宅で作れるという話だ。もちろん、酒造メーカーが酵母の生きた美味しいマッコリやどぶろくを安価に販売してくれれば、わざわざ自分で作る気は毛頭無い。しかし、実際にはほとんど販売されておらず、販売されていても、異常に高価であったり、美味しくなかったりして、結局酒屋での購入では満足できないのである。
で、それじゃあ酒税法違反を覚悟して、自分で作るかという事になるわけである。
次回は、ドブロクやワインの作り方を解説しよう。もちろん、この手の解説書は、普通に本屋で買えるし、なんと市立の図書館にも置いてあり、借りることもできる。要するに、どぶろくの作り方を教えること自体は、違法でもなんでも無いわけである。違法なのは、実際に作ることだ。

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