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通販のマッコリは美味しくない [がっかり]

韓国で美味しいマッコリを飲んで、はまっていた頃、日本国内での生マッコリの通販を利用した事がある。日本の酒屋で買えるのは、酵母を殺した後で炭酸を入れた偽生マッコリなので、本場の生マッコリとは全く味が違う。通販では、生のマッコリが手に入るということで、喜んで買ったのだが、届いたのは気の抜けたようなマッコリであった。しかし、後になって考えて見れば当然の事だ。本場韓国では、生マッコリはフリーザーに保存されている。お客が来ると、シャーベットのように、それをしゃくしゃくしてボールに入れて出してくれたり、ボトルに詰めたりしてくれる。ボトルのキャップを閉めて数分放置すると、次に開けた時には大噴水の大変な事になるほど発泡している。これは生きた酵母による発酵で出てきた炭酸ガスによるものだ。こんな危険な物をそのまま運送業者に頼んだりできないだろう。つまり、通販で購入できるという時点で、酵母はかなり殺されていると考えた方が良い。現在、国内の酒屋で売っているどぶろくも同様である。酵母は生きているが、全部では無いと思われる。炭酸ガスを抜くキャップがつけられているが、元気の良いどぶろくは、そんなもので何とかなるレベルでは無い。10年前にチェジュ島でマッコリに出逢った時には、実は普通にスーパーで生マッコリが売っていた。もちろん、冷蔵庫に入っていたのだが、瓶のキャップはゆるんでおり、常時泡が吹き出してべとべとしていた。当時、何も知らない私は、不良品だと思って、なるべく吹き出していない瓶を選んだ覚えがある。生マッコリの迫力は、本場のキムチと類似しており、いわゆる爆弾である。それ故、チェックイン荷物に入れてお土産にする事ができない。(キムチ爆弾は有名である)もし機内に持ち込めたとしても、気圧の下がった機内で無事に済むとは思えない。生マッコリを日本に持ち込むとしたら、釜山からフェリーで持ってくるしか無いのではないだろうか。(検疫の問題があるかどうかは知らないが)
マッコリのおいしさは、まさにその活き活きとした酵母にある。日本では酵母の活きた酒は手に入らなくなってしまったが、大昔、猿が自然にできた酒を飲んだ時、そのうまさにはまったのは、まさにこの活きた酵母の味だったのではないかと思う。世界中に、独自のどぶろく(原料は様々だが、自家製の醸造酒の事)があるのもうなずける。自家製の活きた酒は、長距離運ぶ事ができず、手元で日比変化していくその活きた酵母の味を楽しむものなのだ。酵母には、様々な有益な栄養分が含まれており、健康にも非常に良い。微生物との共存なのだ。
瓶で熟成した赤ワインは、新鮮な葡萄とは全く異なった香りと味を楽しむ事ができる。缶ビールもうまい。純米大吟醸も原料が米とは思えないフルーティーな香りとすっきりとしたうまみを楽しめる。しかし、どれも活きた酵母の新鮮な酒の味は楽しむ事ができない。韓国で可能な事が、日本ではできない。いや、世界中で可能な事が日本ではできないのだ。酵母の活動という「自然」を法で縛ろうという不自然さがそこにある。

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